駒場東大前②
学園祭を後にした僕の目的地は、こまばアゴラ劇場だったが、時間に余裕はまだあったので、カフェへと向かった。
駒場東大前で降り立つのは、これで6、7回目くらいだ。降りた時は間違いなくアゴラへと向かっていた。
その前に行く場所は、たこ焼き屋さんや、定食屋さん、タイ料理屋さんがお気に入りだったが、お腹は全く空いていなかったので、カフェへと向かった。なんだかんだ駒場でカフェを利用するのは初めてだ。
セルフサービスで、250円でコーヒー飲み放題のお店がある。以前、知り合いが紹介してくれたのを思い出す。
カフェラテとかだとまた別料金などがかかるのだが、コーヒーだけなら、この値段らしい。
僕はお腹が全く空いていなかったが、ガトーショコラなどのケーキ類のメニューが目に映った。
お腹は空いていないが、とりあえずケーキを食べておきたいところはある。
コーヒーもカフェラテを飲んでみたい気持ちもある。
しかし最近、逆に、敢えての、1番安いメニューのみを頼んで、ストイックさを出す、というのを自分に課している。倹約家を目指しているからだ(現状は全然倹約できていないが)
そもそも、僕は時間を潰せればよいのだ。店の雰囲気からするに、ここはコーヒーが美味しい店でない。時間を潰せればそれでよい。そこで、無駄にカフェラテやケーキを頼むことは無駄な出費である。
だから、逆に、敢えて、1番安い、しかも飲み放題というコーヒーを頼むことは、良いことだ。
本当にストイックな人間なら、3秒くらいで決められるかもしれないが、僕は1、2分かけてその決断を下すあたり、まだまだストイックさが足りない。
コーヒーを頼む。
最近、咳っぽいので、龍角散を舐めていたのだが、龍角散を舐めた後に飲むコーヒーはひどいもんだ。
元からさしてうまくもないコーヒーかもしれないが、龍角散を舐めた後だったので、龍角散の味の雰囲気とスーッとした感じのが合わさり、まるでよくなかった。
それでも、そこは、1人用のテーブルで、割と広めのテーブルだったので、店内もオシャレで居心地がよく、250円でこんなに入れるのは素晴らしいお店だな、また行きたいなと思った。
時間がきたので、こまばアゴラへと向かった。
久しぶりのアゴラでの芝居は相変わらず良かった。アゴラ劇場は、小劇場でもある程度の実力をつけた人が立てる舞台だ。
大学生の頃、アゴラで芝居をすることを夢見てた。いや、いつかアゴラで芝居をするだろうとさえ思っていた。
大学三年生の冬、まだ2、3回目くらいのアゴラ劇場。その帰り、大学の演劇サークルのやつらと一緒に観に行ったのを思い出す。その時のお芝居に興奮し、帰りの食事で熱く語ったのを思い出す。
僕は今後恐らくアゴラに立つことはないんだなとその時思い、少し悲しく思った。
久しぶりのアゴラで見る芝居は面白かった。いや、アゴラで見る芝居は大抵面白く、芸術性に長けている。
劇場から出たら、寒い風がブワッと吹き付けた。負けないぞと一歩踏み出す。
今夜はコーヒーを飲みすぎたせいか、寝れなさそうだ。